電気工事業を始めるときに混乱しやすいのが、「普通の登録」と「みなし登録」の違いです。
実務上は「普通の電気工事登録」と呼ばれることがありますが、正式には登録電気工事業者といいます。一方、建設業許可を受けている事業者が電気工事業を営む場合は、登録ではなくみなし登録電気工事業者として届出を行う扱いになります。
この記事では、2026年7月22日時点で確認できる経済産業省の手引き等をもとに、次の2点を整理します。
- 登録電気工事業者とみなし登録電気工事業者の違い
- 主任電気工事士を変更するときの必要書類
まず結論:違いは「建設業許可の有無」
| 区分 | 実務上の呼び方 | 建設業許可 | 手続き | 主な様式 |
|---|---|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 普通の電気工事登録 | なし | 登録申請 | 様式第1 |
| みなし登録電気工事業者 | みなし登録 | あり | 電気工事業開始届出 | 様式第18 |
ざっくり言うと、建設業許可を持たずに一般用電気工作物等の電気工事業を営むなら「登録」、建設業許可を受けている建設業者が電気工事業を営むなら「みなし登録」です。
ここでいう建設業許可は、電気工事業の建設業許可に限られません。経済産業省のQ&Aでは、建設業許可の種類は特に「電気工事業」以外でもよいとされています。
電気工事業の対象:一般用と自家用
電気工事業法上の電気工事は、大きく次の2つを前提に考えます。
- 一般用電気工作物:概括的には、一般家庭・商店等の屋内配線設備など
- 自家用電気工作物:概括的には、大規模マンション、ビル、オフィス、工場等の設備など
一般用電気工作物等を扱う場合は、登録電気工事業者またはみなし登録電気工事業者の整理になります。
一方、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む場合は、「通知電気工事業者」または「みなし通知電気工事業者」という別の区分になります。この記事では、相談が多い「登録」と「みなし登録」を中心に扱います。
登録電気工事業者とは
登録電気工事業者は、電気工事業法に基づき、経済産業大臣、産業保安監督部長または都道府県知事の登録を受けて電気工事業を営む事業者です。
新規登録では、主に次の書類が必要になります。
- 様式第1「登録電気工事業者登録申請書」
- 申請者自身の誓約書
- 主任電気工事士に関する誓約書
- 主任電気工事士の従業員証明書
- 主任電気工事士等の実務経験を証する書面
- 備付器具明細書
- 法人の場合は履歴事項全部証明書
- 経済産業大臣へ申請する場合は登録免許税の領収証書
経済産業大臣に対して申請する場合の登録免許税は90,000円とされています。都道府県知事への申請では、各自治体の案内も確認します。
みなし登録電気工事業者とは
みなし登録電気工事業者は、建設業許可を受けた建設業者が、電気工事業法に基づき、事業開始の届出をして電気工事業を営む事業者です。
重要なのは、建設業許可があるから電気工事業法の手続きが不要になるわけではないという点です。建設業許可を受けていても、電気工事業を営む場合は、電気工事業法上の届出等が必要です。
みなし登録の開始時には、主に次の書類が必要になります。
- 様式第18「電気工事業開始届出書」
- 主任電気工事士に関する誓約書
- 主任電気工事士の従業員証明書
- 主任電気工事士等の実務経験を証する書面
- 備付器具明細書
- 履歴事項全部証明書の写し
- 建設業許可証の写し
- 雇用を証明できる公的書類の写し
電気工事業を開始したときは、遅滞なく届出を行う扱いです。
既に登録している会社が建設業許可を取った場合
既に登録電気工事業者として登録している会社が、新たに建設業許可を受けた場合は注意が必要です。
経済産業省Q&Aでは、新たに建設業許可を受けた場合、登録電気工事業者からみなし登録電気工事業者となるため、遅滞なく届出を行うとともに、登録業者としての廃止届も必要とされています。
また、建設業者となったときは登録の効力を失う旨も示されています。つまり、建設業許可を取った後も、古い「登録」のまま放置しないことが重要です。
主任電気工事士の変更が必要になる場面
主任電気工事士は、営業所ごとに電気工事業の適正な業務運営を担う重要なポジションです。
次のような場合は、主任電気工事士の変更手続きを検討します。
- 主任電気工事士が退職した
- 別の営業所へ異動した
- 新たに主任電気工事士を選任した
- 免状の種類など届出事項に変更が生じた
- 営業所の新設・廃止や工事区分の変更とあわせて主任者を組み替える
登録電気工事業者とみなし登録電気工事業者では、使う様式と提出期限の考え方が異なります。
登録電気工事業者が主任電気工事士を変更する場合の必要書類
登録電気工事業者の場合、主任電気工事士の変更は、登録事項等の変更届出として行います。
主な書類は次のとおりです。
- 様式第11「登録事項等変更届出書」
- 主任電気工事士に関する誓約書
- 主任電気工事士の従業員証明書
- 主任電気工事士等の実務経験を証する書面
- 第一種電気工事士の場合:電気工事士免状の写し(免状裏面の講習受講記録を含む)または電気工事士であることの証明書
- 第二種電気工事士の場合:電気工事士免状の写し等に加えて、主任電気工事士等実務経験証明書
- 雇用を証明できる公的書類の写し
変更の提出期限は、変更があった日から30日以内です。
なお、営業所を新設した場合や、工事区分を「一般用電気工作物等」から「一般用電気工作物等及び自家用電気工作物」に変更する場合などは、対象営業所ごとの備付器具明細書も関係します。
みなし登録電気工事業者が主任電気工事士を変更する場合の必要書類
みなし登録電気工事業者の場合、主任電気工事士の変更は、みなし登録電気工事業者の届出事項の変更として行います。
主な書類は次のとおりです。
- 様式第19「電気工事業に係る変更届出書」
- 主任電気工事士に関する誓約書
- 主任電気工事士の従業員証明書
- 主任電気工事士等の実務経験を証する書面
- 第一種電気工事士の場合:電気工事士免状の写し(免状裏面の講習受講記録を含む)または電気工事士であることの証明書
- 第二種電気工事士の場合:電気工事士免状の写し等に加えて、主任電気工事士等実務経験証明書
- 雇用を証明できる公的書類の写し
変更の提出時期は、変更があったとき「遅滞なく」とされています。登録電気工事業者の30日以内とは表現が異なるため、実務上は変更日が決まったら早めに準備します。
第一種と第二種で添付書類が変わる
主任電気工事士の資格確認では、第一種電気工事士と第二種電気工事士で必要書類が変わります。
- 第一種電気工事士:免状の写し等で足りる扱い
- 第二種電気工事士:免状の写し等に加えて、実務経験証明書が必要
第一種電気工事士の場合は、免状裏面の講習受講記録まで含めて確認される点に注意します。第二種電気工事士の場合は、実務経験の証明内容を事前に整理しておくことが重要です。
提出先は営業所の場所で変わる
電気工事業の登録・届出先は、営業所の所在地によって変わります。
- 1つの都道府県内だけに営業所がある場合:原則として都道府県知事
- 複数都道府県に営業所がある場合:経済産業大臣または産業保安監督部長等
また、建設業許可の行政庁と、電気工事業法の届出先が一致するとは限りません。経済産業省Q&Aでも、建設業の許可を得た行政機関と、電気工事業の届出を行う行政機関が異なることがあると説明されています。
実務チェックリスト
主任電気工事士を変更するときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 自社が登録電気工事業者か、みなし登録電気工事業者かを確認する
- 変更対象の営業所を特定する
- 新主任電気工事士が第一種か第二種かを確認する
- 第二種の場合は実務経験証明の準備を早めに進める
- 雇用を証明できる公的書類を用意する
- 登録なら様式第11、みなし登録なら様式第19を使う
- 登録は30日以内、みなし登録は遅滞なく提出する
- 提出先が都道府県か経済産業大臣・産業保安監督部かを確認する
まとめ
電気工事業登録の「普通」と「みなし」の違いは、建設業許可の有無で整理できます。
建設業許可がなければ登録電気工事業者、建設業許可があればみなし登録電気工事業者です。ただし、建設業許可を持っていても電気工事業法の届出は必要であり、主任電気工事士を変更した場合も、所定の変更手続きが必要です。
主任電気工事士の変更では、第一種か第二種か、雇用証明をどう出すか、提出期限が30日以内か遅滞なくか、という点を早めに確認しておくと手続きがスムーズです。
