【結論】エコアクション21とは、環境省が策定したガイドラインに基づく中小事業者向けの環境経営システム(EMS)の認証・登録制度です。建設業者にとっては2023年(令和5年)1月から経営事項審査の加点対象になっており、「国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況(W8)」で3点が加点されます(ISO14001の5点との重複加点はありません)。費用は審査費用が50,000円/人日(税別・旅費別)、認証・登録料が2年分で従業員10人以下50,000円、11人以上300人以下100,000円(いずれも税別)です。
はじめに:エコアクション21は中小企業にも取り組みやすい環境経営の認証制度です
エコアクション21は、環境省が策定したガイドラインをもとにした環境経営システムです。事業者が、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量などを把握し、環境目標を設定し、改善活動を行い、その結果を環境経営レポートとして公表する仕組みです。
行政書士の実務目線で見ると、エコアクション21は単なる「環境に良い会社です」というPR制度ではありません。建設業者にとっては、経営事項審査の加点、公共工事の入札参加資格、元請・取引先からの環境対応要請、SDGs・脱炭素経営への対応を整理するうえで、実務的に使いやすい制度です。
エコアクション21とは?【制度の基本】
エコアクション21とは、環境省が策定した「エコアクション21ガイドライン」に基づき、環境経営システム、環境への取組、環境報告をひとつにまとめ、第三者審査を経て認証・登録を受ける制度のことです。運営は一般財団法人持続性推進機構(エコアクション21中央事務局)が行っています。
- 中小企業でも取り組みやすい環境経営システムである
- 省エネルギー、廃棄物削減、水使用量削減などを数値で管理する
- 環境経営レポートを作成・公表する
- 審査を受け、認証・登録を受ける制度である
- ISO14001よりも比較的取り組みやすい制度として活用されている
建設業者の場合、現場ごとの燃料使用量、重機・車両の稼働、産業廃棄物、紙・電力使用量、協力業者との管理体制など、日常業務に環境負荷が関係します。そのため、エコアクション21は建設業と相性が良い制度です。なお認証・登録事業者数は、令和7年9月末時点で全国7,564事業者となっています。
建設業者がエコアクション21を取ると、どこで評価されるのか?
建設業者にとっての評価ルートは大きく2つです。1つは経営事項審査(経審)のW点、もう1つは都道府県などの入札参加資格審査における加点(主観点)です。この2つは重複して加点されない場合があるため、どちらで効かせるかを事前に整理しておく必要があります。
経営事項審査では何点加点されるか
建設業者における脱炭素社会実現のため環境への取組を適切に評価する観点から、2023年(令和5年)1月の経審改正でエコアクション21が評価対象に追加されました。W8「国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況」の配点は次のとおりです。
| 登録の状況 | 2022年12月以前 | 2023年1月以降 |
| ISO9001(品質管理に関する取組) | 5点 | 5点 |
| ISO14001(環境配慮に関する取組) | 5点 | 5点 |
| エコアクション21(環境配慮に関する取組) | 0点 | 3点 |
ISO14001とエコアクション21の重複加点はありません。両方を取得していても、環境配慮に関する取組として評価されるのはISO14001の5点のみです。また、W8はISO9001と合わせて最高10点が上限です。W8の点数は、そのまま総合評定値(P)に加算されるのではなく、W評点への換算とウェイト(0.15)を経て反映されます。
大阪府の入札参加資格ではどう評価されるか
大阪府の建設工事競争入札参加資格では、等級区分評点=経営事項審査点数+地元点+福祉点+環境点で算定されます(土木一式・建築一式・電気・管・舗装の5業種。その他の工事は経審点数がそのまま総合点数です)。環境点の内訳は次のとおりです。
| 認証・登録 | 加算点数 |
| KES(ステップ1)、エコステージ(ステージ1) | 2点 |
| KES(ステップ2(含SR・En))、エコステージ(ステージ2以上)、エコアクション21 | 4点 |
| 地元点(大阪府内に主たる営業所を置く者) | 100点 |
| 福祉点(障害者法定雇用率の達成者) | 8点 |
ここが実務上の落とし穴です。大阪府では「経営事項審査結果でISO14001又はエコアクション21の加点評価を受けている場合は、(環境点は)加算されません」と明記されています。つまり、経審で3点の加点を受けると、環境点4点は上乗せされません。また複数の認証を持っていても加算対象は1つだけで、主観点は「加算を希望する場合のみ」加算される仕組みです(大阪府ホームページ、2026年7月1日更新)。
全国ではどれくらい評価されているか
エコアクション21中央事務局の調査(2026年2月17日付)によると、建設等公共工事の入札において27都道府県が環境経営システムの導入・取得等を入札条件とし、18都道府県がエコアクション21を加点要素としています。加点を行う自治体では、経営事項審査と合わせて二度評価されることになります。加点幅は自治体によって大きく異なり、兵庫県16点(全営業所認証の場合)、群馬県・埼玉県・和歌山県・香川県10点、長野県7点、滋賀県6点、富山県・石川県・大分県・鹿児島県・沖縄県5点、大阪府4点などとなっています(いずれもISO14001等との重複加点なしの条件付き)。認証・登録料の補助を行う自治体もあります。
認証・登録の費用はいくらかかるのか?
費用は「審査費用(+審査員旅費)」と「認証・登録料」の2本立てです。審査人の1人日当たりの費用は50,000円/人日(消費税除く)で、これに標準審査工数を掛けて算出します。建設業は「環境負荷が比較的大きいと考えられる事業所」の区分になります。
| 従業員数 | 登録審査 | 初回の中間審査(約1年後) | 更新審査(2年以内) |
| 30人以下 | 2人日(うち現地1人日) | 2人日 | 2人日 |
| 31人以上60人以下 | 2.5人日(うち現地1.5人日) | 2人日 | 2人日 |
| 61人以上100人以下 | 3人日(うち現地2人日) | 2.5人日 | 2.5人日 |
| 101人以上500人以下 | 3.5人日以上 | 3人日以上 | 3人日以上 |
認証・登録料および更新登録料は2年分をまとめて支払います。
| 従業員数 | 認証・登録料/更新登録料(2年分) |
| 10人以下 | 50,000円+消費税 |
| 11人以上300人以下 | 100,000円+消費税 |
| 301人以上500人以下 | 150,000円+消費税 |
| 501人以上1,000人以下 | 200,000円+消費税 |
たとえば従業員10人以下の建設業者が新規で取得する場合、審査費用50,000円×2人日=100,000円に認証・登録料50,000円を加えた150,000円(税別・旅費別)が初回の目安になります。従業員数にはパート・アルバイトや常勤役員も含まれます。事業所が複数ある場合は標準審査工数以上になることがあり、審査の結果ガイドラインに適合しないと判断された場合でも審査費用は必要です。実際の見積りは、最寄りの地域事務局(2026年3月1日現在、27都道府県33団体)に確認してください。
2026年時点の最新動向:エコアクション21アドバンスト
環境省は2025年(令和7年)10月17日、現行ガイドラインの追補版として「エコアクション21ガイドライン 追補版 ~エコアクション21アドバンスト~」を公表しました。運用開始は令和8年度を目指すとされており、2026年9月時点では、全国でのセミナー開催による普及促進を通じた運用開始準備の段階です。
エコアクション21アドバンストとは、現行のエコアクション21の環境マネジメントシステムをそのまま活かしつつ、GHGプロトコルに準拠した温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)の算定・開示の基準を追加したものです。EA21の14の取組項目のうち、追加的対応が必要となる要求事項は4項目(対象組織、把握すべき環境負荷項目、環境経営目標・計画、環境コミュニケーション)に限られています。認証・登録事業者は、既存のEA21ロゴに加えて「ADVANCED」の新しいロゴマークを使用できます。
行政書士としては、通常のエコアクション21取得を入口にしつつ、元請の大手企業からScope3対応の一環としてGHG排出量の報告を求められている会社については、アドバンストの動向も見ておきたいところです。
建設業者がエコアクション21を取得するメリット
1. 経営事項審査と入札参加資格でアピールしやすい
前述のとおり、経審のW8で3点、自治体によっては入札参加資格の主観点でも加点されます。すべての自治体で一律に加点されるわけではありませんが、環境配慮に取り組む建設業者として説明しやすい材料になります。
2. 元請・取引先からの環境対応要請に応えやすい
エコアクション21を取得していると、環境目標、実績、改善活動、教育、環境経営レポートを整理できるため、取引先への説明資料として活用しやすくなります。
3. 燃料費・電気代・廃棄物処理費の見直しにつながる
- 車両・重機の燃料使用量の把握
- 事務所の電気使用量の削減
- 産業廃棄物の分別・減量
- 紙使用量の削減
- 現場ごとの環境配慮ルールの明確化
単なる認証取得ではなく、経費管理の仕組みとして使える点が重要です。
4. SDGs・脱炭素経営を言語化しやすい
エコアクション21では、環境目標、実績、次年度の取組を環境経営レポートとして整理します。そのため、自社の環境配慮を数値と文章で説明できるようになります。
認証・登録までの基本的な流れ
- 制度内容とガイドラインを確認する
- 対象組織・対象活動を整理する
- 環境負荷を把握する
- 環境方針を作成する
- 環境目標と環境活動計画を作成する
- 取組を実施し、実績を記録する
- 代表者による見直しを行う
- 環境経営レポートを作成する
- 審査を申込み、審査を受ける
- 判定を経て認証・登録を受ける
建設業者の場合、現場単位での取組と、本社・営業所単位での取組をどう整理するかがポイントになります。また、認証・登録後も概ね1年後に中間審査、2年以内に更新審査があり、更新登録料も2年ごとに発生する点は、取得前に社内で共有しておきたいところです。
申請前に準備したい資料・情報
- 会社概要、営業所、対象組織の範囲
- 建設業許可業種、主な工事内容
- 電気使用量、燃料使用量、水使用量
- 廃棄物・産業廃棄物の排出量
- 車両・重機の保有状況
- 環境関連法令の適用状況
- 産業廃棄物処理委託契約書、マニフェスト管理状況
- 現場での分別、騒音、粉じん、排水等の管理状況
- 環境方針案
- 環境目標と活動計画案
- 環境経営レポートに掲載する実績データ
行政書士の視点:建設業許可・産廃・入札資格と一体で考える
エコアクション21は環境認証制度ですが、建設業者にとっては、建設業許可、産業廃棄物処理、経営事項審査、入札参加資格と切り離して考えない方が実務的です。
- 建設業許可業種と実際の工事内容の整理
- 産業廃棄物の排出事業者責任の確認
- マニフェスト管理や委託契約書の確認
- 経営事項審査の申請時期と認証・登録日の前後関係の確認
- 入札参加資格審査での環境認証欄・主観点の確認
- 経審加点と自治体の環境点の重複可否の確認
- 元請からの環境管理体制に関する確認
とくに大阪府の場合、経審でエコアクション21の加点を受けると環境点4点は加算されません。逆に言えば、経審を受けない業種・受けられない時期であっても、入札参加資格の環境点として活きる場面があります。制度説明で終わらせず、その会社がどの評価ルートを使うのかまで整理することが、実務では重要です。
取得を検討すべき建設業者
- 公共工事の入札に参加している、または参加予定がある
- 経営事項審査のW点を少しでも上げたい
- 元請企業から環境管理体制やGHG排出量の報告を求められている
- 産業廃棄物の排出量が多い
- 燃料費・電気代・廃棄物処理費を見直したい
- SDGsや脱炭素への取組を外部に説明したい
- ISO14001までは重いが、環境認証を取得したい
よくある質問(FAQ)
Q. エコアクション21は経営事項審査で何点加点されますか?
A. W8「国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況」で3点が加点されます。2023年(令和5年)1月の経審改正で評価対象に追加されました。
Q. ISO14001とエコアクション21の両方を取得すれば8点になりますか?
A. なりません。環境配慮に関する取組については重複加点がなく、ISO14001の5点のみが評価されます。W8はISO9001の5点と合わせて最高10点が上限です。
Q. 大阪府の入札で、経審の加点と環境点4点は両方もらえますか?
A. もらえません。大阪府では、経営事項審査結果でISO14001またはエコアクション21の加点評価を受けている場合、環境点は加算されない取扱いです。また複数の環境認証を取得していても、加算対象はいずれか1つのみです。
Q. 従業員10人以下の建設業者だと費用はいくらくらいですか?
A. 初回は、審査費用50,000円/人日×2人日=100,000円に、2年分の認証・登録料50,000円を加えた150,000円(いずれも税別、審査員旅費は別途)が目安です。その後も概ね1年後に中間審査、2年以内に更新審査と更新登録料が発生します。
Q. エコアクション21アドバンストはもう認証を受けられますか?
A. 2026年9月時点では準備段階です。ガイドライン追補版は2025年10月17日に公表されましたが、環境省は令和8年度の運用開始を目指すとしており、全国でのセミナー開催を通じて普及を図る段階にあります。受審を検討する場合は、中央事務局または地域事務局の最新案内を確認してください。
まとめ:エコアクション21は建設業者の「環境経営を見える化する」制度です
エコアクション21は、中小企業でも取り組みやすい環境経営の認証制度です。建設業者にとっては、環境配慮のPRだけでなく、経営事項審査での3点加点、自治体の入札参加資格での評価、燃料・廃棄物・電力などのコスト管理、元請評価への対応、SDGs・脱炭素経営の見える化に役立ちます。
行政書士としては、制度説明だけでなく、対象範囲の整理、環境関連法令の確認、産廃書類の確認、経審・入札資格への影響確認まで含めて支援することで、建設業者にとって実務的な価値を提供できます。
参考情報
- エコアクション21 公式サイト(中央事務局・一般財団法人持続性推進機構)
- エコアクション21:認証・登録の費用
- エコアクション21中央事務局:経営事項審査及び都道府県の入札参加における評価(PDF)
- 環境省:エコアクション21ガイドライン 追補版 ~エコアクション21アドバンスト~ の公表について
- 環境省:エコアクション21について
- 大阪府:【建設工事】競争入札参加資格要件等
- エコアクション21:ガイドライン
最終更新日:2026年9月8日/監修:行政書士 伊敷紀巳雄
