【結論】一人親方(個人事業主)のままでも、経営経験5年・技術者要件・財産的基礎500万円などの要件を満たせば建設業許可は取得できます。法人化してから取るべきかどうかは、年間所得が800万円を超えているか、元請が法人との取引を条件にしているか、従業員を雇用する予定があるか、の3つの基準で判断します。個人で許可を取得した後に法人化する場合も、事業承継の事前認可制度(建設業法第17条の2)を使えば許可番号を空白期間なく法人に引き継げます。認可の手数料はかかりませんが、大阪府では事前相談のうえ「承継予定日の少なくとも1か月前まで」に申請しないと受け付けてもらえないため、逆算したスケジュールづくりが要になります。
『500万円以上の工事を受けたいが、個人のまま許可を取るべきか、先に法人化すべきか』。一人親方の方からこのご相談を受けない月はありません。
一人親方とは、労働者を常時使用せず、自分自身で建設業を営む個人事業主のことです。この記事では、一人親方が建設業許可を取得する際の要件と、法人化を含めた最適なタイミングの判断基準を、行政書士の実務経験をもとに解説します。記載は大阪府知事許可(一般建設業)を前提に、2026年9月20日時点の情報で整理しています。
この記事で分かること
- 一人親方(個人事業主)が建設業許可を取得するための5つの要件
- そもそも許可が要る工事・要らない工事の線引きと、許可以外に必要になる登録
- 個人のまま許可を取る場合と、法人化してから取る場合の違い(設立費用の実額比較つき)
- 令和2年改正で可能になった『事業承継認可制度』の使い方と申請期限
- 法人化のタイミングを判断するための3つの基準
一人親方でも建設業許可は取得できるか?|5つの要件を確認
結論から言えば、一人親方のままでも建設業許可は取得できます。許可の要件は個人でも法人でも基本的に同じです(建設業法第7条、第8条)。一人親方の場合、次の5つをすべて満たす必要があります。
| 要件 | 一人親方の場合に求められること | 根拠・注意点 |
|---|---|---|
| 1. 常勤役員等(経営業務の管理責任者) | 建設業に関する5年以上の経営経験 | 個人事業主としての5年でも可。確定申告書控え+工事書類で証明 |
| 2. 営業所技術者等(旧・専任技術者) | 該当業種の国家資格、または10年以上の実務経験 | 法7条2号。指定学科卒なら大学3年・高校5年に短縮 |
| 3. 財産的基礎 | 自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力 | 大阪府は残高日が申請日前4週間(28日)以内の残高証明書 |
| 4. 欠格要件に該当しないこと | 破産者で復権を得ない者、拘禁刑以上の刑から5年未満の者等でないこと | 法8条。2025年6月1日の改正刑法施行で「禁錮」→「拘禁刑」 |
| 5. 適切な社会保険への加入 | 従業員がいなければ国民健康保険+国民年金でよい | 令和2年10月改正で許可要件化。従業員を雇えば雇用保険は1人からでも加入義務 |
要件1:常勤役員等(経営業務の管理責任者)がいること
建設業に関して5年以上の経営経験が必要です。一人親方として5年以上事業を営んでいれば、この要件を満たします。
証明方法は、5年分の確定申告書の控え(税務署の受付印またはe-Tax受信通知付き)と、同期間の工事請負契約書・注文書・請求書等です。
要件2:営業所技術者等(旧・専任技術者)がいること
取得したい業種に対応する国家資格を持っているか、その業種で10年以上の実務経験があることが必要です(建設業法第7条第2号)。指定学科卒業の場合は、高卒で5年、大卒で3年に短縮されます。なお、令和6年12月13日施行の改正で、従来の『専任技術者』は『営業所技術者等』に名称が変わりました。
一人親方の場合、常勤役員等と営業所技術者等を同一人物が兼任できます。ただし、営業所技術者等は主たる営業所に常勤していることが原則のため、現場との兼務には制限があります。
要件3:財産的基礎があること
一般建設業許可の場合、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力があることが必要です。個人事業主の場合、自己資本は『期首資本金+事業主借+事業主利益-事業主貸+利益留保性の引当金・準備金』で計算されます。
自己資本で500万円を証明できない場合は、金融機関が発行する残高証明書で資金調達能力を証明します。大阪府では、残高日(証明日)が申請日前4週間(28日)以内の残高証明書が必要です(取扱いは行政庁ごとに異なるため、申請先の手引きで事前確認してください)。
実務ではこういう相談が多い
『通帳のコピーではだめですか』というご質問をよくいただきますが、通帳のコピーは認められません。必ず金融機関の窓口で残高証明書を取得してください。また、複数の口座の合算で500万円を超える場合は、同一日付の残高証明書を複数取得する必要があります。申請直前に一時的に500万円を用意する『見せ金』は、発覚した場合に許可取消しのリスクがありますので、絶対に避けてください。
要件4:欠格要件に該当しないこと
破産者で復権を得ない者や、拘禁刑以上の刑に処せられその刑の執行が終わってから5年を経過しない者などに該当しないことが必要です(建設業法第8条)。※2025年6月1日の改正刑法施行に伴い、従来の『禁錮以上の刑』は『拘禁刑以上の刑』に改められました。
要件5:社会保険に適切に加入していること
令和2年10月の改正により、適切な社会保険への加入が許可要件に追加されました。一人親方で従業員がいない場合は、国民健康保険と国民年金に加入していれば要件を満たします。
従業員を雇った場合の扱いは次のとおりです。個人事業所で常用労働者が4人以下であれば健康保険・厚生年金保険への加入義務はありませんが、雇用保険は労働者を1人でも雇えば加入義務が生じます。常用労働者が5人以上になると、健康保険・厚生年金保険も強制適用になります。
そもそも建設業許可が必要な工事はどれか?|許可以外に要る登録もある
「500万円以上の工事を受けたい」という動機で許可を検討する方が大半ですが、一人親方の場合、許可が不要な範囲でも別の法令に基づく登録が必要になることがあります。ここを見落とすと、許可を取ったのに無登録営業になっていた、という事態が起こります。
建設業許可が不要な「軽微な建設工事」とは
軽微な建設工事とは、請負代金が一定額に満たない工事のことで、建設業許可がなくても請け負えます。基準は次のとおりです(金額はいずれも消費税込み)。
| 工事の種類 | 許可が不要な範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 請負代金1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150㎡未満の工事 |
| 建築一式工事以外の27業種 | 請負代金500万円未満の工事 |
注文者が材料を提供する場合はその材料費と運送費を請負代金に加算して判断し、正当な理由なく工事を分割した場合は合計額で判断されます。詳しくは建設業許可が不要な工事とは?500万円ルールで解説しています。
許可が不要でも登録が必要になる工事は?
金額が軽微でも、工事の種類によっては別の法律に基づく登録が必要です。一人親方からのご相談で特に多いのが次の2つです。
| 登録制度 | いつ必要か | 有効期間・主な義務 |
|---|---|---|
| 解体工事業登録(建設リサイクル法) | 建築物等の解体工事を請け負うとき。元請・下請を問わず、請負金額の大小にかかわらず必要 | 5年。技術管理者の選任、営業所・現場への標識掲示、帳簿の備付け |
| 電気工事業登録(電気工事業法) | 一般用・自家用電気工作物の電気工事を営むとき。建設業許可の有無で「登録」と「みなし登録」に分かれる | 登録電気工事業者は5年(みなし登録は更新なし)。主任電気工事士の選任 |
解体工事業登録は、工事を行う都道府県ごとに受ける必要があります。大阪府外に営業所があっても、大阪府内で解体工事を行うなら大阪府知事の登録が要ります。ただし、建設業法の「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」のいずれかの許可を受けていれば登録は不要です(許可取得後30日以内に府へ抹消の通知をします)。大阪府の登録手数料は新規33,000円・更新26,000円で、新規・更新は窓口申請のみ、標準処理期間は受理後おおむね4週間です。
電気工事業登録については電気工事業登録の「普通」と「みなし」の違いで詳しく整理しています。
実務ではこういう相談が多い
一人親方が見落としやすいのが、解体工事業登録の「技術管理者」を自分で兼ねられないケースです。大阪府の手引きでは、建設業許可業者に勤務する技術管理者は、常勤性が求められる経営業務の管理責任者や営業所技術者等と兼務できないとされています。つまり、他業種(たとえば管工事業)の建設業許可を一人で維持しながら、同じ本人が解体工事業登録の技術管理者にもなる、という組み方はできません。解体も自分でやるのであれば、土木・建築・解体のいずれかの許可取得を早めに検討するほうが結果的に近道です。
個人で許可を取るか、法人化してから取るか|比較表で整理
建設業許可を検討する一人親方にとって最大の悩みが、『個人のまま取るか、法人にしてから取るか』という選択です。以下の比較表で違いを整理します。
| 項目 | 個人で許可取得 | 法人化してから許可取得 |
|---|---|---|
| 許可申請手数料(知事・新規) | 9万円 | 9万円(同額) |
| 法人設立費用 | 不要 | 株式会社で約20〜25万円、合同会社で約6〜10万円 |
| 申請書類の量 | 法人より少ない | 個人より多い(定款・登記事項証明書等) |
| 社会保険 | 常用労働者4人以下なら健保・厚年は適用除外 | 強制加入(代表者1人でも加入義務) |
| 対外的な信用 | 法人より低い傾向 | 取引先・金融機関からの信用が高い |
| 元請からの受注 | 法人限定の元請には発注されない | 取引先の幅が広がる |
| 税務上の有利さ | 所得が低いうちは有利 | 所得800万円超で法人税が有利になる傾向 |
| 赤字でもかかる固定費 | なし | 法人住民税の均等割(年間おおむね7万円〜) |
| 許可の承継 | 事業主の死亡で許可が消滅(相続の認可制度あり) | 代表者が変わっても許可は存続 |
| 後から法人化する場合 | 事業承継認可の手続きが必要 | 不要(最初から法人で取得済み) |
法人設立費用はいくらかかるのか?【株式会社・合同会社の比較】
「法人化=20万円以上」と思われがちですが、会社の種類によって実費はかなり違います。建設業では株式会社が選ばれることが多い一方、費用を抑えたい一人親方が合同会社を選ぶケースも増えています。
| 費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立登記の登録免許税 | 資本金×7/1000(最低15万円) | 資本金×7/1000(最低6万円) |
| 定款認証手数料(公証人) | 1万5,000円〜5万円(資本金の額等による) | 不要(定款認証そのものが不要) |
| 定款の収入印紙 | 紙の定款は4万円/電子定款なら0円 | 紙の定款は4万円/電子定款なら0円 |
| 実費の目安(電子定款の場合) | 約16万5,000円〜20万円 | 約6万円〜 |
定款認証手数料は、資本金の額等が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です。さらに令和6年12月1日以降は、資本金の額等が100万円未満で、発起人が全員自然人かつ3人以下・発起設立・取締役会非設置のすべてを満たす場合、1万5,000円に軽減されています。
なお、合同会社でも建設業許可は問題なく取得できます。許可要件に会社の種類による違いはありません。
事業承継認可制度とは?|許可番号を空白期間なく引き継げる
事業承継認可制度とは、令和2年10月1日施行の建設業法改正(建設業法第17条の2)で新設された、個人事業主が法人化する際などに、建設業許可を空白期間なく承継できる制度です。個人から法人への「法人成り」は、制度上は事業譲渡(譲渡及び譲受け)の類型にあたります。
改正前の問題点
改正前は、個人で建設業許可を持つ一人親方が法人化する場合、個人の許可を廃業し、法人として新規に許可を申請し直す必要がありました。審査期間中(通常1〜2か月)は許可がない状態となり、500万円以上の工事を受注できない空白期間が生じていました。
改正後の事業承継認可制度
改正後は、事業を移す前にあらかじめ事業承継の認可を受けることで、個人の許可番号を含む建設業者としての地位をそのまま法人に引き継ぐことができます。これにより、許可の空白期間が生じません。
申請期限と手数料はどうなっているか?
この制度は「事前」認可です。承継の効力が生じる日(承継予定日)より前に認可を受けておく必要があり、申請期限を過ぎると利用できません。期限は行政庁によって異なります。
| 項目 | 大阪府知事許可の場合 | 国土交通大臣許可の場合(関東地方整備局の例) |
|---|---|---|
| 事業承継の申請期限 | 事前相談のうえ、承継予定日の少なくとも1か月前まで。期限を過ぎると受付不可 | 承継予定日の90日前まで(標準処理期間90日) |
| 相続の申請期限 | 被相続人の死亡後30日以内(建設業法第17条の3) | |
| 手数料 | かかりません(認可手続きに手数料は発生しない) | |
| 受付方法 | 当面の間、予約制・1日2件まで(建築振興課へ電話予約) | 郵送または持参 |
| 主な様式 | 譲渡及び譲受け認可申請書(様式第22号の5)+譲渡・譲受けに関する契約書の写し等 | |
認可を受けるときに注意したい5つの実務ポイント
- 一部の業種だけを承継することはできません。承継者は被承継者の建設業のすべてを承継する必要があり、承継しない業種がある場合は承継日より前に一部廃業届を出します。
- 同一業種で一般と特定が食い違うと承継できません。たとえば承継元が特定、承継先が同じ業種の一般という組み合わせは不可です。
- 許可番号は、無許可の法人が承継する場合は従前の番号がそのまま引き継がれます。双方が許可業者なら、どちらの番号を残すか選べます。
- 承継者は、被承継者の未提出の決算変更届を提出する義務を負います。個人時代の決算変更届を溜めていると、法人側の宿題になります(決算変更届の解説はこちら)。
- 営業所技術者等は、承継予定日に業種ごとに同一の者が引き続き常勤している必要があります。承継と同時に技術者を入れ替える段取りは通りません。
承継後の許可の有効期間はどうなるか?
事業承継の場合、承継の日を含め、承継の日の翌日から5年間が有効期間になります(結果として有効期間は5年と1日)。相続の場合は承継の日の翌日から5年で、承継の日までは被相続人の許可を相続人に対してしたものとみなされます。
実務ではこういう相談が多い
『もう法人の登記を済ませてしまったのですが、許可を引き継げますか』というご相談をよくいただきます。登記を済ませただけで、まだ事業を法人に移していない段階であれば、事業承継認可を使える余地があります。認可申請には譲受人となる法人の登記事項証明書や定款が必要なので、むしろ法人は設立済みである必要があるからです。使えなくなるのは、すでに事業の譲渡を実行してしまった場合や、個人の廃業届を出してしまった場合です。もっとも大阪府は承継予定日の1か月前までという申請期限があり、事前相談も前提ですから、「登記→承継予定日→申請期限」の3点を逆算してスケジュールを組む必要があります。法人化を考え始めた時点でご相談いただくのが安全です。
法人化のタイミングはいつがよいか?|3つの判断基準
判断基準1:年間の事業所得が800万円を超えているか
個人事業主の所得税は累進課税(最高45%+住民税10%)であるのに対し、法人税の実効税率は約23〜34%です。一般的に、事業所得が800万円を超えるあたりから法人化による節税メリットが出始めます。
ただし、法人化すると社会保険料の事業主負担が発生し、赤字でも法人住民税の均等割(年間おおむね7万円〜)がかかります。売上が安定していない段階での法人化は、固定費増のリスクがあります。
判断基準2:元請が法人との取引を条件にしているか
建設業界では、元請が下請に対して法人であることを取引条件にしているケースが少なくありません。『許可は持っているが個人事業主だから発注できない』と言われる状況であれば、法人化は売上に直結する投資です。
判断基準3:従業員を雇用する予定があるか
従業員を雇用する場合、法人であれば社会保険(健康保険+厚生年金)に加入でき、採用面で有利になります。また、従業員に営業所技術者等を担わせることで、事業主自身が現場に出やすくなるというメリットもあります。
実務ではこういう相談が多い
『とりあえず個人で許可を取って、軌道に乗ったら法人化したい』という方は多いです。この進め方自体は合理的ですが、法人化の際に事業承継認可の手続きが必要になることを見落としがちです。『法人化してから考えればいい』ではなく、許可取得の段階で法人化の時期をおおまかに想定しておくことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 従業員のいない一人親方でも、社会保険の要件を満たせますか?
満たせます。従業員を使用しない個人事業主は、国民健康保険と国民年金に加入していれば社会保険の許可要件を満たします。健康保険・厚生年金の加入義務はありません(法人化すると代表者1人でも強制加入になります)。
Q. 国家資格がなくても建設業許可は取れますか?
取れます。取得したい業種について10年以上の実務経験があれば、資格がなくても営業所技術者等の要件を満たせます。ただし実務経験は工事請負契約書・注文書・請求書等で期間分を証明する必要があり、書類集めが最大のハードルになります。
Q. 先に法人の登記を済ませてしまいました。個人の許可を引き継げますか?
登記を済ませただけで、まだ事業を法人に移していないのであれば、事業承継認可を利用できる余地があります。認可申請では譲受人となる法人の登記事項証明書などが必要になるため、法人が存在していること自体は問題になりません。利用できなくなるのは、すでに事業の譲渡を実行した後や、個人の廃業届を出した後です。ただし大阪府では承継予定日の少なくとも1か月前までに申請する必要があり、この期限を過ぎると受け付けてもらえません。
Q. 事業承継認可に手数料はかかりますか?審査にはどのくらい時間がかかりますか?
認可手続きに手数料はかかりません。期間は行政庁によって異なり、大阪府知事許可は事前相談のうえ承継予定日の1か月前までの申請、国土交通大臣許可(関東地方整備局の例)は承継予定日の90日前までの申請で標準処理期間90日とされています。いずれも事前相談が前提なので、準備期間を含めて数か月の余裕を見てください。
Q. 合同会社でも建設業許可は取れますか?
取れます。許可の要件に会社の種類による違いはありません。設立費用は株式会社より安く、登録免許税の最低額が6万円で、定款認証も不要です。ただし対外的な知名度や信用の面では株式会社が選ばれる場面もあるため、元請との取引関係も踏まえて選択してください。
Q. 解体工事だけなら建設業許可は不要ですか?
請負代金500万円(税込)未満の解体工事であれば建設業許可は不要ですが、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録が別途必要です。この登録は金額の大小にかかわらず、元請・下請を問わず必要で、工事を行う都道府県ごとに受けます。なお、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を持っていれば登録は不要です。
Q. 個人の許可のまま事業主が亡くなったら、許可はどうなりますか?
原則として許可は事業主の死亡により効力を失いますが、相続人が死亡後30日以内に認可を申請すれば、許可を承継できる制度があります(建設業法第17条の3)。期限が短いため、事業の引継ぎを想定している場合は生前の法人化・事業承継の検討をおすすめします。
Q. 従業員を雇ったら、社会保険の手続きはどう変わりますか?
個人事業所の場合、常用労働者が4人以下であれば健康保険・厚生年金保険への加入義務はありませんが、雇用保険は労働者を1人でも雇えば加入義務が生じます。常用労働者が5人以上になると健康保険・厚生年金保険も強制適用になります。許可の更新時には保険の加入状況が確認されるため、雇用のタイミングで手続きを忘れないようにしてください。
まとめ|許可取得と法人化の判断チェックリスト
一人親方が建設業許可を取得すること自体は、要件さえ満たせば個人のままで可能です。問題は『いつ法人化するか』のタイミングです。
以下のチェックリストで、現時点での最適な選択肢を判断してください。
個人のまま許可を取得すべきケース:
- 年間所得が800万円以下で、当面は個人で事業を継続する予定
- 元請からの受注に法人であることの条件がない
- 従業員を雇用する予定がない
- 法人設立費用や法人住民税の均等割といった固定費をかけたくない
法人化してから許可を取得すべきケース:
- 年間所得が800万円を超えており、節税メリットがある
- 元請が法人との取引を条件にしている
- 近い将来(1〜2年以内)に従業員を雇用する予定がある
- 事業の拡大を見据えて対外的な信用を高めたい
すでに個人で許可を持っており、これから法人化するケース:
- 事業承継認可制度の活用を検討する(大阪府は承継予定日の1か月前までに申請、手数料は無料)
- 承継は全業種が対象。承継しない業種があれば承継日前に一部廃業届を出す
- 個人時代の決算変更届の未提出がないか確認する(法人が引き継いで提出する義務を負う)
- 行政書士に事前相談し、登記・承継予定日・申請期限から逆算したスケジュールを立てる
解体工事や電気工事も手がけるケース:
- 解体工事業登録・電気工事業登録が必要でないか確認する
- 一人で経営業務の管理責任者・営業所技術者等・技術管理者を兼ねられない点に注意する
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参考情報(一次情報)
- 大阪府「建設業者としての地位承継に係る事前認可申請の様式」
- 関東地方整備局「事業承継等の事前認可制度」
- 大阪府「解体工事業登録の申請、届出、証明等」
- 法務省「合同会社の設立手続について」
- 法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」
- 国土交通省「建設業における社会保険加入対策について」
最終更新日:2026年9月20日
監修:行政書士 伊敷紀巳雄(行政書士ARISEリーガルオフィス)

