建設業で特定技能外国人を受け入れる際に必要となる建設特定技能受入計画について、国土交通省の新規申請の手引きと公表情報をもとに、受入企業・外国人本人の認定条件、常勤職員数の数え方、必要書類、申請時期と審査期間、受入報告・変更申請の注意点を行政書士が整理します。

【結論】建設業で特定技能外国人を雇うには、入管の在留資格手続とは別に、国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定が必須です。認定条件の中心は、建設業許可・CCUS事業者登録・JAC(または正会員団体)加入・過去5年の監督処分なし・ハローワークでの正社員募集・特定技能外国人が常勤職員数を超えないこと・同等技能の日本人と同等額以上の月給制報酬の7点で、CCUSとJACは「申請中」では認められません。申請は雇用開始日の概ね6か月前から可能で、認定まで1か月半〜2か月(関東地方整備局は補正なしでも3〜3か月半)かかるため、逆算した工程管理が実務の要です。

建設業で特定技能外国人を受け入れる場合、出入国在留管理庁への在留資格申請だけを進めればよいわけではありません。建設分野では、国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定が必要です。

この記事では、国土交通省の新規申請の手引き(2025年4月4日版)と公表ページを2026年9月4日時点で再確認したうえで、建設業者が特定技能外国人を受け入れる前に確認すべきポイントを、行政書士の実務目線で整理します。

建設特定技能受入計画とは?

建設特定技能受入計画とは、建設業者が特定技能外国人を適正に受け入れるために、受入企業の体制、外国人の業務内容、報酬、雇用条件、安全衛生教育、技能向上の取組などを国土交通省に示し、認定を受けるための計画のことです。申請は「外国人就労管理システム」によるオンライン申請で行い、審査は各地方整備局等が担当します。

建設分野は、現場ごとの就労管理、安全衛生、賃金水準、建設キャリアアップシステム(CCUS)との関係など、他分野より確認事項が多いのが特徴です。認定を受けても、入管の審査で在留資格が認められない場合があり、また国土交通省の認定は雇用条件が労働基準法に適法であることを保証するものではない点にも注意が必要です。

受入企業側で確認される主な条件は?【認定条件一覧】

国土交通省の新規申請の手引きでは、受入企業側の主な認定条件として次の9項目が示されています。いずれか1つでも欠けると認定されません。

項目認定条件
1. 建設業許可建設業法第3条第1項の許可を受けていること(有効期限内)
2. CCUS事業者登録が完了していること(登録申請中は不可)
3. JAC建設技能人材機構(JAC)またはその正会員団体の会員であること(加入申請中は不可)
4. 監督処分申請前5年間に建設業法に基づく監督処分(指示・営業停止・取消のいずれも)を受けていないこと
5. 国内人材確保同じ職種で正社員の募集をハローワークで行っていること(申請日から直近1年以内の求人票)
6. 人数上限建設特定技能外国人の人数が常勤職員数を超えないこと
7. 待遇無期雇用フルタイム社員(正社員)と同等以上の待遇とすること
8. 安全衛生教育受入後に労働安全衛生法に基づく特別教育などを行うこと
9. 技能向上5年間の在留期間を見据えた技能向上に努めること

1. 建設業許可を受けていること

建設分野の特定技能外国人を受け入れる企業は、建設業法第3条第1項の建設業許可を受けていることが前提になります。一方、許可業種と特定技能外国人に従事させる業務との一致は求められていません。外国人の業務区分に含まれる工事であれば、会社が許可を受けている業種を問わず従事させることができます(手引き明記)。更新申請中で新しい許可証が届いていない場合は、旧許可証と更新申請書の写し(受付印あり)で申請できますが、更新が不許可になると認定後でも取り消されます。

2. CCUS事業者登録とJAC加入

受入企業は、CCUSの事業者登録が完了していること、またJACまたはJACの正会員団体の会員になっていることが必要です。いずれも申請中では足りないため、受入計画認定申請の前に完了させておく必要があります。団体によっては会員証の発行に数か月〜半年かかることがあり、加入要件で入会できない場合もあるため、特定技能の利用が決まった段階で早めに手続きするのが実務上の鉄則です。

3. 監督処分・求人・常勤職員数の確認

申請前5年間に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと(国交省ネガティブ情報等検索サイトで事前確認)、同じ職種で正社員募集をハローワークで行っていること、建設特定技能外国人の人数が常勤職員数を超えないことも確認事項です。求人票の月給額も審査対象で、たとえば求人票が「経験不問・月給25万円〜」なのに特定技能外国人の基本賃金が23万円であれば、同等以上の報酬とは認められません。

常勤職員数はどう数えるか

常勤職員数は、社会保険(建設国保を含む)に加入している者のうち、常勤役員(報酬が一定額以上)、パート等の短時間労働者でない日本人従業員、および在留資格が「特定技能」「技能実習」「特定活動(特定技能移行予定等)」以外の常勤の外国人従業員をカウントします。特定技能外国人・技能実習生は分母に含めないため、「技能実習生5人、日本人2人」の会社が受け入れられる1号特定技能外国人は2人までです。確認書類は健康保険・厚生年金の標準報酬決定通知書で、短時間労働者は「パ」、非常勤役員は「非」、技能実習生は「実」などの記載を求められます。

外国人本人について確認される主な条件は?

項目認定条件
CCUS技能者登録登録完了していること(海外在住者は入国後速やかに登録し受入報告で技能者IDを報告)
業務内容建設業許可における建設工事に該当する業務であること
業務区分合格した試験・修了した技能実習等と業務区分の対応が適切であること
報酬同等技能の日本人と同等額以上の報酬を月給制で安定的に支払うこと
昇給技能の習熟に応じて昇給を行うこと(システム入力した下限額は毎年必ず昇給)
事前説明重要事項事前説明書で認定条件を満たした内容を本人が理解できる言語で説明していること
雇用契約事前説明書と同じ条件で特定技能雇用契約を締結していること

特に報酬については、国土交通省が「建設特定技能受入計画における報酬額の認定について」の通知(令和4年6月1日申請分から適用)を出しており、統一的な運用が図られています。認定を受ける基本賃金には、毎月固定的に無条件で支給される手当(技能手当、職務手当など)は含められますが、皆勤手当・固定残業代・出勤日数に応じた現場手当などは含められません。

オンライン申請で必要になる書類は?【一覧】

国土交通省のページでは、オンライン申請において、各様式に入力したうえで、書類をスキャンしてPDF化するか、写真に撮ってJPEG化してアップロードするよう案内されています。1書類1ファイルとし、ファイル名は書類名にします。手引きに示された添付書類は次のとおりです。

区分書類
受入企業登記事項証明書(法人・3か月以内)または代表者の住民票(個人)/建設業許可証/常勤職員数を明らかにする文書(標準報酬決定通知書等)/CCUS事業者IDを確認する書類/JAC会員証/委任状・行政書士証票(代理申請時)
就労環境ハローワーク求人票(直近1年以内)/就業規則・賃金規程・退職金規程(常時10人以上の場合)/36協定届/変形労働時間制の協定書・協定届・年間カレンダー(採用時のみ)
外国人ごとCCUS技能者IDを確認する書類/同等額以上の報酬であることの説明書/比較対象日本人の賃金台帳(直近1年分)/同日本人の実務経験年数を証明する書類/特定技能雇用契約書・雇用条件書/重要事項事前説明書

雇用契約に係る重要事項事前説明書

外国人本人に対して、雇用条件や重要事項を事前に説明するための書類です。日本語だけでなく、外国人が十分に理解できる言語を用いた母国語併記版(ベトナム語・インドネシア語・英語など10言語)が国土交通省から提供されており、外国人への説明にはこれを使うよう求められています。業務内容を単に「土木」「建築」と書いただけでは説明したことになりません。説明したつもりでも本人が理解できていなければ、後日のトラブルにつながります。

同等額以上の報酬であることの説明書

特定技能外国人の報酬は、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等額以上であることが必要です。同職種で経験3〜5年程度の日本人がいればその人と比較し、いなければ同職種の日本人との比較で差が合理的な範囲であることを説明します。同職種の日本人(役員以外)がいない場合は、就業規則・賃金規程に基づく3年程度または5年程度の経験者の報酬額、または周辺地域の建設技能者の平均賃金(賃金構造基本統計調査「D建設業」)や設計労務単価を根拠に説明することになります。なお、建設業許可申請で使う「実務経験証明書」は記載事項が不足するため、日本人の実務経験年数の証明には流用できません。

申請時期と審査期間はどれくらいか?

項目目安
申請可能時期(技能実習からの移行)技能実習計画の修了期日の6か月前から
申請可能時期(それ以外)雇用開始日の概ね6か月前から(雇用契約開始日を申請日から半年以上先にはできない)
認定までの期間(全国目安)1か月半〜2か月程度(補正期間を除く)。地方によりさらに数か月
認定までの期間(関東地方整備局)補正が全くなくても3か月〜3か月半程度
入管申請の目安就労開始希望日の2〜3か月前

審査の順番は申請日順ですが、就労管理システムで「引戻し・再編集」をすると当初の申請日ではなく再申請日の順に並び直されます。また必要書類の添付漏れや、報酬額・昇給が認定基準を満たさない場合は、内容審査に入らず差し戻されます。在留資格手続や雇用開始予定日から逆算して、書類を全部そろえてから一発で申請することが重要です。

入管申請とは並行できるが、認定証がないと許可は出ない

国土交通省への受入計画認定申請と、出入国在留管理庁への在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請は並行申請が可能です。ただし、国土交通省の受入計画認定証は入管申請の添付書類となるため、国土交通省の認定が出ない限り、入管側の許可等は出ません。

就労開始後は受入報告が必要

特定技能外国人の受入れを開始したときは、速やかに「1号特定技能外国人受入報告書」を国土交通省にオンラインで提出します。建設特定技能開始年月日には在留カード「特定技能1号」の交付日を記載します。海外から新規に入国する場合は、原則として入国後1か月以内にCCUS技能者IDを明らかにする書類も提出する必要があります。在留期間を更新して在留カード番号が変わったときも、その都度システム上で番号を変更します。

変更があれば変更申請・変更届出を確認する

建設特定技能受入計画の記載事項に変更がある場合、変更申請または変更届出が必要になります。雇用の根幹に関わる事項や認定証記載事項、受入の根幹に関わる事項、その他の重要事項の変更は「変更申請」、それ以外は「変更届出」です。原則として外国人にとって不利益となる変更は認定されず、変更届出でも受理後に基準を満たさないことが判明すれば元に戻すよう指導されます。報酬、就労場所、業務内容、受入体制に関わる変更は、会社側で軽く判断せず、変更申請・変更届出の手引きを確認してから進めるべきです。

外国人就労管理システム利用時の注意点

外国人就労管理システムでは、同じIDで複数PC・複数画面を開いて操作するとデータがクリアされることがあると案内されています。また、複数IDの使用はできず、1企業に対して複数の認定番号を発行することもできません。

代理できるのは弁護士または行政書士に限られます(報酬を得て申請書類を作成できるのも行政書士・弁護士のみ)。ただし、初めの利用者仮登録は必ず受入企業のメールアドレスから行い、ID・パスワード・登録メールアドレスは受入企業の責任で管理する必要があります。担当者の退職でメールが使えなくなる事例が多いため、企業の代表アドレスなど複数人が確認できるアドレスで登録することが推奨されています。携帯キャリアのアドレスは登録できません。

行政書士の実務チェックリスト

  • 建設業許可を取得しているか(有効期限内か)
  • 外国人の業務区分に含まれる建設工事に従事させる計画か
  • CCUS事業者登録が完了しているか
  • JACまたは正会員団体の会員証が発行されているか(申請に使える様式か団体に確認したか)
  • 過去5年間の建設業法上の監督処分の有無を確認したか
  • ハローワークで同職種の正社員募集を行っているか(直近1年以内・求人票の月給額と整合しているか)
  • 常勤職員数と受入予定人数の関係を確認したか
  • 外国人本人の試験合格・技能実習修了等と業務区分が合っているか
  • 報酬額の説明資料を準備できるか(月給制・口座払い・昇給の下限額)
  • 重要事項事前説明書を本人が理解できる言語で準備したか
  • 雇用契約書・雇用条件書・事前説明書・システム入力の内容が一致しているか
  • 受入開始後の受入報告・変更申請・変更届出の管理体制があるか

よくある質問(FAQ)

Q. 許可業種と外国人に従事させる工事が違っても認定されますか?

A. 認定されます。国土交通省の手引きは、特定技能外国人に従事させる業務と取得している許可業種の一致は求めていないと明記しています。外国人の業務区分(土木・建築・ライフライン設備)に含まれる工事であればよく、たとえば「とび・土工工事業」の許可しかない会社でも、業務区分「建築」の作業に従事させることができます。

Q. CCUSやJACの加入申請中でも受入計画を申請できますか?

A. できません。CCUS事業者登録・技能者登録、JAC(または正会員団体)の会員証はいずれも「完了・発行済み」が申請の前提で、申込書や受理票では申請できません。会員証の発行まで数か月かかる団体もあるため、受入れを決めた段階で最初に着手すべき手続きです。

Q. 認定まで実際にどれくらいかかりますか?

A. 国土交通省の目安は補正期間を除いて1か月半〜2か月ですが、関東地方整備局は補正がなくても3か月〜3か月半と案内しています。補正があればさらに延び、引戻し・再編集をすると審査順が再申請日に並び直されます。雇用開始の6か月前から申請できるので、書類を全部そろえて最初の申請可能日に出すのが最短ルートです。

Q. 技能実習生を同じ会社で特定技能に移行する場合も、ハローワーク求人票は必要ですか?

A. 必要です。求人票は「国内人材確保の取組を行っている」ことの証明であり、技能実習の実習企業がそのまま特定技能で雇用する場合でも、国内人材の確保に努めた結果として採用できなかったことを示す必須書類とされています。一度も求人を出したことがなければ、一度求人を出してその求人票を提出します。

Q. 特定技能外国人の受入れは1人あたりいくらかかりますか?

A. 受入計画の認定申請自体に手数料はかかりませんが、JAC会費・受入負担金、CCUS登録料、在留資格の手数料などが必要です。なお2026年10月1日から在留許可手数料が在留期間に応じた額に改定されます。費用の全体像と改定内容は特定技能「建設」で外国人を雇うための完全ガイドで解説しています。

まとめ

建設業で特定技能外国人を受け入れる場合、単に人材を採用するだけでなく、建設業許可、CCUS、JAC加入、報酬額、安全衛生教育、技能向上、受入報告、変更申請・変更届出まで、一連の管理が必要です。

行政書士の実務では、国土交通省の受入計画認定申請と、出入国在留管理庁の在留資格手続を分けて考えず、同時並行で工程管理することがポイントになります。特にCCUS・JACの手続きと、日本人技能者との報酬比較資料の準備は、着手が遅れるとそのまま就労開始の遅れに直結します。

参考情報

制度全般・システム操作の問い合わせ先:建設技能人材機構(JAC)0120-220-353(平日9:00〜17:30)

最終更新日:2026年9月28日
監修:行政書士 伊敷紀巳雄

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