はじめに
銅線ケーブルなどの金属盗が社会問題化したことを受け、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律、いわゆる金属盗対策法が整備されました。
この法律により、主として銅からなる金属くずなどを買い受ける事業者は、特定金属くず買受業として届出、本人確認、記録保存などの対応が必要になります。
特定金属くず買受業とは
特定金属くず買受業とは、特定金属くずの買受けを行う営業をいいます。対象となる金属くずは、主として特定金属により構成される金属くずで、製造過程で発生するものや古物営業法上の古物に該当するものは除かれます。
銅くずなどを継続的に買い受ける事業者は、自社の取扱品目が制度対象に入るかを確認する必要があります。
大阪で届出が必要になるケース
大阪府警は、大阪府金属くず営業条例による金属くず商許可を持っている事業者であっても、特定金属、特に銅くずを買い受ける営業をしている場合は、別途届出が必要と案内しています。
届出先は、原則として営業所所在地を管轄する警察署です。大阪府内に複数の営業所がある場合は、同時に届け出る場合に限り、いずれかの営業所所在地を管轄する警察署にまとめて提出できるとされています。
なお、大阪府警の案内では届出手数料は不要とされています。
営業開始時の必要書類
個人事業主の場合
- 営業開始届出書
- 営業者の住民票の写し(本籍地記載あり・個人番号省略)
- 営業所の平面図および保管場所の平面図
- 営業所および保管場所周辺の略図
法人の場合
- 営業開始届出書
- 定款
- 登記事項証明書
- 法人代表者の住民票の写し(本籍地記載あり・個人番号省略)
- 営業所の平面図および保管場所の平面図
- 営業所および保管場所周辺の略図
営業所と保管場所が同じ敷地内にある場合は、営業所の平面図に保管場所を記載すれば足りるとされています。
変更・廃止の届出
届出事項に変更がある場合は、届出事項変更届出書と、変更内容に応じた証明書類が必要です。たとえば法人名を変更した場合は、登記事項証明書が例示されています。
注意点として、営業所を移転する場合は単なる変更届ではなく、廃止届を提出したうえで新たに開始届が必要とされています。
営業所を廃止した場合は、営業廃止届出書を提出します。
届出後に必要な実務対応
1. 本人確認
特定金属くずの買受けを行う際には、相手方の本人確認が必要です。自然人との対面取引では、運転免許証、在留カード、マイナンバーカードなど、顔写真付き本人確認書類の提示を受ける方法が代表例です。
法人取引では、取引担当者の本人確認に加え、法人確認も必要になります。登記事項証明書や印鑑登録証明書の提示を受ける方法などが案内されています。
2. 本人確認記録の作成・保存
本人確認記録は、文書または電磁的記録で作成できます。大阪府警の概要では、本人確認記録はその都度直ちに作成し、3年間保存すると説明されています。
3. 取引記録の作成・保存
特定金属くずを買い受けた場合、相手方の氏名や買受け内容などの取引記録を作成し、3年間保存する必要があります。
4. 盗品疑いがある場合の申告
本人確認を拒否する、持ち込み内容が不自然であるなど、盗品に由来する疑いがある場合は、警察への申告が求められます。
罰則とスケジュール
金属盗対策法の特定金属くず買受業に係る措置は、令和8年、2026年6月1日施行です。
警察庁リーフレットでは、無届で特定金属くず買受業を営んだ場合、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科と説明されています。
2026年6月1日時点ですでに特定金属くず買受業を営んでいる事業者には3か月の経過措置があり、2026年8月31日までに届出が必要とされています。
事業者が準備すべきチェックリスト
- 自社の取扱品目が特定金属くずに該当するか確認する
- 営業所所在地を管轄する警察署を確認する
- 営業開始届出書を準備する
- 個人・法人別の添付書類をそろえる
- 営業所・保管場所の平面図を作成する
- 営業所・保管場所周辺の略図を作成する
- 本人確認の運用ルールを整備する
- 本人確認記録・取引記録の保存方法を決める
- 盗品疑いがある場合の社内報告・警察申告フローを作る
まとめ
特定金属くず買受業の制度は、単なる書類提出ではなく、金属盗品の流通を防ぐための本人確認・記録保存・警察への申告まで含む実務ルールです。
特に大阪で金属くず商許可をすでに持っている事業者でも、銅くずなど対象となる特定金属くずを買い受ける場合は、金属盗対策法に基づく届出が別途必要になる点に注意が必要です。
まずは管轄警察署を確認し、必要書類と取引管理体制を早めに整えておきましょう。