令和8年7月1日施行済みの経審改正で新設されたW1-8「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度(職人いきいき宣言)」を行政書士が解説。元請・下請の立場での宣言で+5点(発注者は対象外)、提出書類(宣言書・誓約書 様式第7号)、宣言書を作成する4つのステップ、有効期間と更新手続き、経審申請までの流れを、大阪・関西の建設業者向けにわかりやすく整理します。

【結論】建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度(愛称:職人いきいき宣言)とは、技能労働者の処遇改善に取り組むことを企業が自ら宣言し、国土交通省のポータルサイトで公表する制度のことです。令和8年(2026年)7月1日以降に申請する経営事項審査(経審)では、W点の新項目「W1-8」として、審査基準日において有効な宣言を元請事業者または下請事業者の立場で行い、誓約書(様式第7号)を提出していれば5点が加点されます(発注者の立場は加点対象外)。申請からポータルサイト掲載までは最大1か月程度かかるため、審査基準日(原則として決算日)から逆算した早めの宣言が重要です。

2026年(令和8年)7月1日に施行された経審改正で、W点(社会性等)に加点項目「W1-8 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無」が新設されました。宣言をしていれば+5点、していなければ0点。何も対応しなければ差がつく項目です。

この記事では、制度の概要から、加点を受けるための条件、提出書類(宣言書・誓約書)、宣言書の作り方、宣言の有効期間、経審申請までの流れまでを、大阪・関西の建設業者をサポートする行政書士がわかりやすく整理します。

この記事で分かること

  • W1-8「自主宣言制度」とは何か(新設項目・+5点)
  • 加点を受けるための条件(審査基準日・ポータルサイト掲載・立場)
  • 必要な提出書類(宣言書・誓約書 様式第7号)
  • 宣言書を作成する4つのステップ
  • 宣言の有効期間と更新手続き
  • 宣言から経審申請までの実務の流れ

建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度とは?【経審W1-8・+5点】

建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度とは、建設業界で働く技能労働者(職人さん)の処遇改善や育成に積極的に取り組むことを企業が宣言し、国がその企業を後押しする仕組みのことです。国土交通省が推進し、愛称は「職人いきいき宣言」。令和7年(2025年)12月12日から申請受付が始まり、2026年8月末時点で宣言企業は6,000社を超えています。

自主宣言を登録すると、企業名・代表者名を含む宣言文が制度のポータルサイトに公開されます。そして、審査基準日において有効な宣言がポータルサイトに掲載されている場合に、経審で加点されます。

宣言の立場・状況W1-8の評点
元請事業者の立場で宣言5点
下請事業者の立場で宣言5点
発注者の立場で宣言加点対象外
宣言なし0点

加点が適用されるのは、経審の申請日が令和8年7月1日以降の申請です(現在はすでに施行済み・2026年8月31日時点)。

ポイント
加点の判定は「審査基準日(原則として決算日)の時点で、有効な宣言がポータルサイトに掲載されているか」で行われます。申請から掲載までは内容の確認のため最大1か月程度かかるため、経審の直前に慌てて宣言しても審査基準日に間に合わないおそれがあります。早めの宣言が重要です。

提出書類は2つ|宣言書と誓約書(様式第7号)

経審で自主宣言の加点を受けるには、次の2つの書類を申請時に提出します。

① 宣言書

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」において宣言していることを証明する書面の写しです。元請事業者または下請事業者の立場で宣言したものが対象になります。

② 誓約書(様式第7号)

宣言書に記載した取組内容を、取組開始日以降に「行う」または「行っている」ことを誓約する書面です。経審の申請時に、宣言書と共に提出します。様式は各審査行政庁(許可行政庁)のホームページに掲載されています。

宣言書の作り方|4つのステップ

宣言書は、制度のポータルサイトから、取組内容・取組開始日を入力して申請します。手順は次の4ステップです。

ステップ1|宣言する立場を選択

自主宣言は、元請事業者・下請事業者・発注者のいずれかの立場で行います。重複して宣言することはできず、宣言は支店・事業所単位ではなく法人単位で行います。元請・下請いずれの立場の宣言でも経審の加点対象になりますが、発注者の立場は加点対象外です。どちらか迷う場合は、現場に入る立場の比率が高い方で宣言します。

ステップ2|必須項目を入力

宣言する立場に応じて、必須項目の取組内容を入力します。必須項目に記載していない項目があると宣言はできません。ポータルサイトでは次のような内容が想定されています。

立場宣言内容の例
共通宣言企業との取引優先/CCUS(建設キャリアアップシステム)の利用環境整備/会社独自の取組
元請・発注者(一人親方含む)適切な工期・労務費等での取引
下請技能レベルに応じた手当や賃金支払/月給制/週休2日制

ステップ3|任意項目を入力

任意項目を記載しなくても自主宣言の申請はできますが、処遇改善に取り組む場合はその内容を宣言できます。たとえば、処遇改善、適正な請負契約、スキルアップ、労働安全衛生、生産性向上、戦略的広報・若者育成、女性活躍、外国人活躍など、取組内容を自由に記入できます。

ステップ4|取組開始日を入力

宣言する取組は申請時点で始まっていなくても構いませんが、取組開始日(申請時に設定する宣言日から1年以内の日)までに、宣言したすべての取組を開始している必要があります。宣言する取組のうち、開始が最も遅い日を「取組開始日」として記載します。申請時点ですべての取組を行っている場合は、宣言日と取組開始日は同一で構いません。取組開始日までに開始できなかった場合はマイページから取り下げが必要で、取り下げないと再度の申請が1年間できなくなる場合があります。

自主宣言の有効期間はいつまでか?【約2年・更新制】

自主宣言の有効期間は、申請日の翌月を起算日として2年経過後の最初の12月末までです。有効期限の3か月前にメールで通知があり、期限が切れる1か月前までにマイページから更新手続きを行います。有効期限が切れたまま放置すると、審査基準日に有効な宣言がない状態となり、経審で加点を受けられなくなるため注意してください。

宣言から経審申請までの流れ

① 自主宣言

審査基準日以前に宣言し、ポータルサイトに宣言が掲載されていることを確認します。

② 取組内容の実施

取組開始日を設定した取り組みを実施します。

③ 誓約書の作成・提出

経審の申請時に、誓約書(様式第7号)を作成し、宣言書と共に提出します。

実務上の注意点

よくある相談
「とりあえず宣言だけしておけば加点されますか?」というご相談をよくいただきます。宣言自体は任意項目なしでも申請できますが、宣言した取組は取組開始日(宣言日から1年以内)までにすべて開始する義務があり、誓約書(様式第7号)でその実施を誓約します。形式的な宣言で終わらせず、労務費の確保・CCUSの運用など、実際に取り組める範囲で計画を立てることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 発注者の立場で宣言しても経審で加点されますか?

A. 加点されません。経審W1-8で加点対象になるのは元請事業者・下請事業者の立場での宣言のみで、発注者の立場での宣言は加点対象外です。

Q. 元請と下請、どちらの立場で宣言すべきですか?

A. 現場に入る立場の比率が高い方で宣言します。半々程度であれば任意の立場で構いません。なお、立場のみを後から変更することはできず、変更する場合は掲載の取り下げ後に再申請が必要です。

Q. 申請からポータルサイトに掲載されるまでどのくらいかかりますか?

A. 内容の確認のため最大1か月程度かかり、公開はメールで通知されます。審査基準日(決算日)の直前に申請すると掲載が間に合わないおそれがあるため、余裕をもって申請してください。

Q. 取組開始日までに取組を開始できなかった場合はどうなりますか?

A. マイページから宣言の取り下げを行う必要があります。取り下げを行わない場合、再度の申請が1年間できなくなる場合があります。

大阪・関西で経審の点数アップをお考えの建設業者様へ

2026年7月施行の経審改正では、この自主宣言制度(+5点)の新設に加え、CCUS加点の見直しなどW点全体の再編が行われました。改正点を踏まえて、自社にとって最適な加点の組み合わせを設計することが、点数アップの鍵になります。

行政書士ARISEリーガルオフィスでは、大阪・兵庫・奈良・和歌山・京都の建設業者様を対象に、経営事項審査(経審)の評点アップ・自主宣言制度への対応・入札参加資格申請をワンストップでサポートしています。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

参考:建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度|ポータルサイト(国土交通省)

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最終更新日:2026年8月31日
監修:行政書士 伊敷紀巳雄(行政書士ARISEリーガルオフィス)

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